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組木屋 上田

ココボロ


銘木図鑑の第12回。今回はローズウッドの仲間である「ココボロ」の紹介。

「木らしい見た目で、重くて、硬くて、磨くとよく光る、ローズウッドの仲間」

ココボロ

【別名】サザンアメリカンローズウッド

【科目】マメ科 ツルサイカチ属 広葉樹

【組木屋作品】メビウスの指輪、蝶々のペンダントトップ、ト音記号のペンダントトップ、など

ココボロ 評価

【評価】中南米産のローズウッドの仲間で、なかなかに希少。2013年にワシントン条約の附属書Ⅱに記載され輸出入規制の対象となった。

(2017年には、マメ科ツルサイカチ属の木はすべて、ワシントン条約の附属書Ⅱに記載され、輸出入の規制対象となっています。ブラジリアンローズウッドだけは、もっと前に附属書Ⅰに記載されていて1992年から原則輸出入禁止。)

ブラジリアンローズウッドが輸出入禁止とされ非常に高値になってしまい(特にギター業界で)、その代用としてココボロがよく使われるようになったが、これもまた輸出入規制され希少になってしまったよう。

楽器材としての評価はよく分からないのですが、小物を作る分には、ココボロの方が気に入っていて、あまりお値段高くならないでほしいなぁと願っています。

年輪っぽい縞々があって「木」らしい見た目をしているが、そうしたの材のなかでは、かなり重くて硬い材。(ココボロより重硬な材は、緑色だったり、蛇柄だったり、ほとんど真っ黒だったり、およそ木らしくない見た目のものが多い。)

木らしい見た目で、重くて、硬くて、磨くとよく光る。小物を作る木工屋としてはかなり高評価の材種。組木屋評価は8.4点としました。

【色・匂・味】心材部分は、明るいオレンジのような茶色もしくは赤味がかった茶色と、濃い茶色との縞々。特に濃い部分では紫を感じることもある。(白太材は未入手だが、かなり白いらしい。)

一つの材の中でも、色幅が大きい。おおむね年輪に沿った縞模様だとは思うのだが、太さや濃さ、色合いが結構ランダムな感じ。大きな縞模様とは別に、肉眼で見えるか見えないかぐらいの超細かい縞々もあったりする。明るい色の部分は、加工直後は黄色みが強いが、だんだん赤みが増して濃い色になる。

匂いはほとんどしないが、熱を加えたときに若干、ローズウッド系の匂いを感じる。

味は特にしない。

ココボロ ローズウッド

【加工性】いろいろな加工での感じを総合して、硬さ評価は8。丸鋸・ドリルでの加工の硬さは、7にしようか8にしようか、っていうぐらい。ルータでの研削加工では、硬さ8か9かというぐらいに感じた。糸鋸盤では、材が勝手に進むのを抑えるのがちょっと大変で、硬さ以上に難しく感じる。

ドリル穴あけで熱が加わると、木屑が刃に絡みつく。それほど硬く固まらないので、ブラシで簡単に取れるけど。

ルータ加工で、繊維を多少強く感じる。ゴム砥石が結構削られる。キックバックにも注意。逆目はあるが強くはない。繊維方向の硬さ(削れる速さ)の差は、1.2倍から1.5倍程度と少ない。

今まで加工したローズウッドの仲間の中では一番油分が多いのではないかと思う。色の濃い部分が、特に油分が多く、若干硬く感じる。

ヤスリ(熱を加えないような加工)の木屑は、さらっさら。

【仕上】道管がやや大きいことはあるが、それ以外は非常に綺麗に仕上がる。丁寧に磨いたものは、デザートアイアンウッドの仕上がりと似た感じがする。(どちらも個体差が大きいけど。)そもそもデザートアイアンウッドが、ココボロに近い種が経年変化したものなのかもしれない。

左は普通のデジカメで出来るだけ近寄って撮った写真。中央と右のは、デジタルマイクロスコープでさらに寄って撮った写真。右の写真の右側にはクラックスケールの、0.15mm幅の線を当てています。

道管は太いもので0.20㎜ぐらいかな、という感じ。

丁寧に磨くと、無塗装でもかなり光沢が出る。ちょっと奥で光が反射しているような感じで、見る角度、光の当たり方で若干色合いが変化する。←こうゆう木肌の材が個人的には大好きです。

ココボロ 作品

左上の猫は、#400までヤスリかけして無塗装。右の蝶々は、#400までヤスリかけした上で蜜蝋クリーム塗布。左下の指輪は、#1500までヤスリかけして無塗装。

【その他】木粉で肌に炎症を起こすことがあるらしい。組木屋のクラフターはお肌が弱いのですが、今のところは異常なし。

【2018年12月 指輪の拡大写真追加】

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