猫の箸置き
作品紹介の第5回は、「猫の組み積み木」の元となった作品「猫の箸置き」について。
・猫の箸置きとは
私が組木屋を開業しようとか考える、ずっと以前に誕生した作品。
猫の背中に箸を置きやすい形で、さらに4匹をうまいこと組み合わせて仕舞える、というところを狙ってデザインしました。
「猫の組み積み木」のところでも書きましたが、いろいろ改良したのを「箸置き」にもフィードバックして、現在はバージョン3.1という形です。
・猫の箸置き、誕生秘話
奥様「箸置きが欲しいんだけど。」
上田「あちこちで売ってるで。」
奥様「気に入るのがないんだけど。」
上田「...んじゃ、つくろか?」
というのが、誕生のきっかけ。
・猫の箸置き、第1号
初めは、4匹セットでしか考えていなかったので、正方形にわりときれいに収まる形。
頭の中と手描きデッサンとで、うにゃうにゃと考えた後、パワポで描いて、手鋸で制作しました。(めっちゃめちゃ時間がかかりました。)
切断した後、ニスを塗ろうと思って、4匹中2匹の片側を濃い色に塗ったサンプルを用意して、奥様にお伺いをたてたところ、
上田「黒猫と白猫、どっちが好き?」
奥様「三毛猫が好き。」
上田「...あぁ、そう。」
ということで、裏側は木目に沿って塗り分けしてみました(二毛ですが)。
・糸鋸盤を手に入れるまで
「猫の箸置き」を手鋸で作成して、めっちゃ苦労をしたので、電動糸鋸盤が欲しくなってしまいましたが、すぐに購入設置の許可を頂けるまでには至らず、そのまま5年ほどが経過しました。そのころ、私の(会社員としての)仕事がかなり忙しく、自分では自覚していなかったのですが、「死んだような目」になっていたようで、見るに見かねた奥様から「好きなことしたら」と、有難いお言葉をいただき、糸鋸盤の購入に至りました。
・猫の箸置き、第2号
今になって考えると、大変無謀なことに、糸鋸盤を手に入れて一番最初に、「黒檀(たぶん縞黒檀)」で「猫の箸置き」を制作。材種による加工難度の違いなども全く知らず、糸鋸盤を「魔法の電動工具」みたいに美化してしまっていたのでしょう。「なんちゅう難しいんや!」
・猫の箸置き、第3号
さらに無謀なことに、Nobuさんのアイデアで「猫の箸置き」をテーパー付きパズルに。糸鋸盤初心者が、加工難度の高い黒檀をさらに斜め切りする、という暴挙に。「難しすぎるやろ!」
・猫の箸置き、第4号
さらに、さらに無謀にも、アクリル樹脂。
ある程度厚みのあるアクリル樹脂は、糸鋸盤で加工するものではない、ということを思い知りました。そして今度は、レーザーカッターが欲しくなってしまいました。(20mmぐらいのアクリル板を、綺麗に切断できる機械は、完全に業務用で超高価。)将来宝くじを当てて、自由に設計した工房を手に入れることができるとしたら、組木屋にも導入したいと思います。(今まで宝くじを買ったことがありませんが。)
・「猫の箸置き」を自作される方へ
組木屋では、糸鋸加工用の図面データを販売します。
糸鋸の達人の方には余計なお世話ですが、初心者の方には、まずは加工難度の低い(切りやすい)材種で制作されることを、ほのかにお勧めします。