組木屋作品紹介 銘木のアクセサリー
蝶々のペンダントトップ (Impossible Butterfly)
デザイナー:枝葉 クラフター:上田
【今までに制作した材種】チューリップウッド・ココボロ・ホンジュラスローズウッド・カマゴン・スタビライズドウッド(メイプルカーリースポルテッド)・アフリカンブラックウッド、、パロサント、など
・蝶々のペンダントトップ とは
木で作った蝶々の形のアクセサリーです。いちおうペンダントトップとして使用していただくことを想定しておりますが、うまいことヘアゴムを付ければ髪飾りとしてもご使用いただけるかもしれません。
ぱっと見、ちょっと凝った形をしてるだけで普通のペンダントトップとしてのデザインに見えるかもしれませんが。そこは組木屋さんの作品。実は不思議物体・不可能物体っぽい、組木(2つの木片を組み合わせた)構造となっています。その構造には2種類ありまして、ひとつは「開く蝶々」、もうひとつは「回す蝶々」と呼んでいます。
【目次】
紐でくくってペンダントトップとして、もしくは、ゴムひもで留めて髪飾りとして。
その構造で分けると、上の写真の左4つが「開く蝶々」、右の2つが「回す蝶々」。
蝶々の翅(はね)の形で分けると、上3つが普通の「蝶々」っぽくて、下の3つは「アゲハ蝶」っぽい形になっています。(翅の部分は融通が利くデザインなので、使う木によって形を変えたり、中をくり抜いてみたり、いろいろな形にしています。)
・「開く蝶々」の構造
左右の翅(はね)が、閉じた状態から90°くらいまで開きます。2つの木片が可動しますが、外すことは不可能だと思います。
「開く蝶々」の可動部の構造は特に新しいものではなく、パズルや不思議物体がお好きな方だったらどこかで見たことがあるかもしれません。日本ではかなりマイナーかと思いますが、ホイットリング(Whittling)という言葉がありまして、木を削って鎖やペンチみたいなものを作ったりすることをそう呼びます。(「Whittle」が、木などを少しづつ削り出すことを意味する言葉。ふつう彫刻することは「carve」とか「sculpture」と呼ぶことの方が一般的なようですが、不思議物体を削り出す場合には「Whittle」が使われることが多いよう。)
「開く蝶々」は、そのホイットリングのペンチとだいたい同じ構造です。
真上、もしくは真下から見ると、不可能物体ペンチみたいな感じ。ホイットリングでペンチなどを作ったことがある方には、その難しさ(と面倒くささ)をご理解いただけるかと思います。理屈では分かっても、実際作るとなるとチョウ大変。蝶だけに。。。
・「回す蝶々」の構造
左右の翅(はね)が、平らな状態から片方をくるっくるっぱっと回して150°くらい開いた状態となります。2つの木片が可動しますが、外すことは不可能だと思います。
平らに置いた状況を見ると、片方を持ち上げたら、簡単に外すことが出来そうに思えるかもしれませんが、持ち上げて、さらにひっくり返しても外れません。糸鋸盤で加工しているのですが、中央の部分は、斜めに(しかも途中で角度を変えながら)切断していて、上にも下にも抜けないような構造になっているのです。(硬い木だと特に、チョウむずい加工です。)
この「回す蝶々」の可動部の構造は、他では見たことがないので、たぶん世界初、組木屋オリジナルの発明だと思っています。(私が寡聞にして無知なだけかもしれません。もし同様の構造の木工作品・パズル作品などをご存知の方がおられましたら、お知らせいただけましたら幸いです。)
特に役に立つものへの応用は思いつきませんが、個人的に面白いので良しとします。
・ペンダントトップとしての使い方いろいろ
左右の翅(はね)を開いた状態で、中央をひもなどでくくっていただくのが一番安定すると思いますが、片方だけくくったり、閉じた状態でくくったりしていただいても良いかと思います。
その他、手にされた方にいろいろ試して楽しんでいただけましたら幸いです。
・蝶々のペンダントトップの仕上げ
ヤスリ#400ぐらいまで磨いて、蜜蝋クリームで仕上げています。
無塗装・磨きのみで仕上げるには、ちょっと形が複雑すぎる(手間暇がかかりすぎる)ので、磨きはそこそこの程度です。形をつくるだけでもチョウ手間のかかる作品なので、磨きはちょっと妥協しております。
・蝶々のペンダントトップの販売
もう少し数を作って、制作効率をどこまで上げられるか見極めないとなので、ショップで販売するのはしばらく先になりそうですが、もし気に入っていただける方がおられましたら、乞うご期待。応援の程よろしくお願いいたします。